イエローナイフ邦人行方不明・報道各社のレポ場所について
イエローナイフ邦人行方不明・報道各社のレポ場所について
10月末より起こったイエローナイフ邦人女性行方不明事件。
連邦警察は周辺人口2万の街としては異例の捜査・捜索態勢を敷きましたが、結局『イエローナイフ邦人女性行方不明・友人への手紙』のとおり、本人が見つからないながらも事件性はないとされ、捜査は終了となりました。
カナダでもかなり隔離されたこの僻地に、日本の民放各社がわざわざレポーターを事件の発表から28時間で送りこんでくるという事態になり、こちらの報道機関にも逆取材を受けていました。
その各社の現地レポートですが、報道された際に「街からかなり離れた人通りのない場所」として編集されているケースが殆どでした。
完全な裏付けが出来ている最終目撃場所は「10月22日午前9時15分ごろの街の郊外」となっています。
この場所、実は観光案内所からは徒歩15分の場所です。
各社とも、放送時には周辺の人工物をなるべく写らないように工夫して撮影していました。
ロケ収録時には各社ともなぜかほとんど車の走らない絶妙なタイミングでのレポートになっていますが、実際には街の幹線道で常に車の往来があります。
また新市街区の住民の通勤道で、朝、昼休み、夕方と3回のラッシュアワーがありますし、空港から中心部へのアクセスセス路なので、早朝も夜もフライトが着くたびに結構車が走っています。深夜には配送の長距離トラックが到着するので、「全く車の往来の無い時間」の方が実は少ない道路でした。
それと各社のインタビューでは話していたことなんですが(残念ながら使われず)、歩道はないですがこの道、実際には歩行者の往来もある程度ある道でもあります。
街を大きく回る周回路になっているので、ジョギングのコースとして使われています。自転車通勤のルートとしても使われています。これを真冬の‐30℃の時にも敢行する剛の者も数名ます。
それからイエローナイフから周辺の集落(と言っても30kmから100km!)へ帰る方がヒッチハイクするルートにもなっています(要するに、近所の人が通りかかるのを当てにして歩いています)。
以上、TVのレポートでは分かりづらいことで、各BBSなどでも誤解を生んだコメントが飛び交っていたので解説ページを設けました。
各社が行ったロケ場所&大体のロケ画面と、少し視界をずらしたその周辺の写真を併記しましたのでぜひ見比べてみてください。
1枚目:ジャックフィッシュ湖。ニュースでは湖のみ写っていましたが、そのすぐ横は変電所です。
2枚目:緩やかな一本道の上り坂ですが、10秒歩くとダウンタウンが見える場所でした。
イエローナイフ邦人行方不明・報道各社のレポ場所その1。街から離れた何もない場所に見えてましたが、実際には街から徒歩15分程度で横は変電所。街灯も付いている場所でした。各社とも切り取り方が上手かった。 pic.twitter.com/KdfnjErovA
— Ricki Koichi Shimada (@Ricki_Shima) 2014, 11月 12
3枚目:先程とは逆方向の一本道ですが、すぐ左は変電所。街灯も結構あるのでこの区間はあまり暗くないです。なので、夜に自己鑑賞にここまで歩いてくる旅行者もいます(現在は日本以外のアジア系旅行者の方が多いです)。
4枚目:上記の上り坂から真逆を撮影。去年コンドミニアムが建ったので、この道からも建物が見えるようになりました。つまり、本当は街区のすぐ外の地点なんです。
イエローナイフ邦人行方不明・報道各社のレポ場所その2。見比べると分かるように、ちょっと視界をずらすと大きな建物が。Googleでは更新されていませんが、この場所は去年から、マンションの視界にも入っています。 pic.twitter.com/yRWdLYnMNa
— Ricki Koichi Shimada (@Ricki_Shima) 2014, 11月 12
5枚目:変電所のアクセス路から目撃場所の道路を撮る。
実際にはその向こうにコンドミニアムが見えていました。
イエローナイフ邦人行方不明・報道各社のレポ場所その3。またこの道は空港ー市街地間の移動路で、見た目の荒涼感に反して交通量は多いです。週回路になっていてジョギングや自転車通勤にも使われる道でした。つまり日中の歩行者は珍しくはないです。 pic.twitter.com/8erCJZizIN
— Ricki Koichi Shimada (@Ricki_Shima) 2014, 11月 12
最初は街でも情報が錯綜していて、当日は地元ラジオも『22日の夜から行方不明』と話していました。
そのため関係者も最初は事件性をかなり疑っていましたし、その夜に受けたインタビューではそれを前提とした返答をしていました。
その後だんだん情報が整理されてきて、よく午前中には『22日の午前中が最後の目撃例』となり、事件よりも遭難の確率を想定し始めました。その後に受けた取材では『遭難の可能性とそのパターン』などを中心に返答していました。
このあたりの時系列は、別ページにて紹介できればと思っています。
また、今回の件でイエローナイフの治安について改めて疑問を持った方も多いと思います。
『イエローナイフの治安について』にてまとめてありますので、そちらを参照ください。
コメント
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ニュースも作られるんですね
ニュース映像だけ見てると誤解を与えそうですね。ニュースだけ聞いていると町から遠く離れた原野に迷い込んだように聞こえましたが、実際はそうでもないようですね。
やはり、イエローナイフは基本的には平和な町なんだなと思います。
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結局オーロラ観賞とは関係ないようですね
色々イエローナイフの治安状況についてが取沙汰されていましたが、結局失踪したのは朝の時間帯なので、あまり夜の治安問題と関係なさそうで一安心です。
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Re: 結局オーロラ観賞とは関係ないようですね
>>2
はい。報道されたのが現地時間の夕方で、この一晩は情報が錯綜してました。
ちょうどこの半年以上前から、それまですごく少なかった街の車上荒らしや空き巣が増えていたところだったったんです。
結果的には治安問題とは別のお話でしたが、私も最初は犯罪関連だと思ってしまいましたし、日本メディアへの最初の取材(報道開始日の夜で情報錯綜中)ではそっち方面を懸念して話してしまいました。
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Re: ニュースも作られるんですね
>>1
はい。
街の人にとっては以前に比べると防犯が必要になってきましたが・・・というか、日本と比べても今までのイエローナイフが安全すぎたので、これは仕方ないです。
少なくとも旅行者に関しては観光地よりずっと安全だと思います。
また撮影についてですが、現地のガイド屋さんとしては誤解を生みまくるロケだと思ったので、このロケ地公表を報道翌日に行いました。でもカメラマンとしては『よくこんな風にうまく切り取ったなぁ』と思います。視聴者がその印象を鵜呑みにされるのは困るのですが。