BecksKennels
ベックスケンネル オーロラツアーズ(オーロラ ワンダーランド)
Aurora Wonderland & Becks Kennels
もともとは犬橇犬のブリーダー、その犬たちの訓練を兼ねて犬ぞりツアーなどを長い間行ってきたベックスケンネル。2008-2009年に、パッケージツアーにも対応するオーロラツアーもスタートさせました。そのため、犬橇を絡めたユニークなツアーが多いのが特徴ですが、それを率いるのが、還暦を迎えるも今なお現役の犬ぞり師、グラントベック。
そのツアー会社について、今回はグラントにお話を聞きました。
(インタビューは2010年11月で、その後一部改変しています)
オーロラのツアー会社について
編集:久しぶりにここ(ベックスケンネル)には来ましたけど、新しい建物が出来ていてびっくりしました。いつ完成したんですか?
グラント:この前(2010年)の夏にね。いい感じだろ?
編集:ええ。じゃあ犬ぞりツアーも、オーロラツアーも待合室はここになるんですか?
グラント:そう。こっちに防寒服の部屋もあるから、必要な人はここで着てもらってね。
編集:そうなんでうか?きれいな建物を使っているんですね(小屋ではなく、通常は住居に使う一般のモジュール建物)。
(建物のレイアウト上)寝室になっている部屋は、何に使うんですか?
グラント:宿泊用の客室だよ。宿泊付きパッケージで泊まる人は、ここに泊まってもらうんだ。帰ってきてからも、湖まで(100mぐらい)出てもらえば、オーロラ鑑賞してもらえるよ。
編集:なるほど。ちなみに、昨年(2008-2009シーズン)はツアー会社として良いスタートを切ったようですが、今年はどうですか?
グラント:今年はさらに良いよ。会社が認知されたからだろうけど、良いペースでお客さんが増えているね。うまく行って良かったよ。
編集:そうですか。では、防寒服の部屋を見せてもらって良いですか?
- 防寒服の部屋を見せてもらいました。
編集:(防寒服の量を見て)あの・・・、現在は最高で何人ぐらい一晩にオーロラツアーに行けるんですか?
グラント:うーん、いまだ80人ぐらいかな?どうして?(2016年現在は180人ぐらいだそうです)
編集:いえ、ちょっと防寒服の量が少ないように感じたので。
グラント:ああ。カナダや欧米からのお客さんは、全員が防寒服を使う訳じゃないからね。特に、カナダや北欧州(ドイツより北)の人達だとちゃんとした防寒服を持ってくる人もいるし、そうでなくても、「建物(orテント)で温まれるから、自分たちの服で平気」っていう人も多いし。だから、この位の防寒服の量でも大丈夫だったんだよ。もっと増やしてはいくけどね。(アジア人の方は、マネしないでください。体の構造が違うので、大変危険です)
編集:そうなんですか? それなら確かに大丈夫そうですね。あれ?この服よく見たら、Snow Mantra(Canada Goose社の最上級モデル)じゃないですか?
グラント:全部じゃないんだけど、このモデルも揃えているんだ。あと、こっちの防寒服はオーロラツアー用。こっちは犬ぞりとかの昼間のツアー用で、分けて貸している。犬を可愛がりすぎると、結構匂いが付くからね。
編集:へぇー、かなり気にしているんですね。あと、この防寒靴は、私は使ったことが無いんですけど・・・?
グラント:これもいいモデルだよ。-50℃に対応だからね。
オーロラツアーについて
編集:では、オーロラツアーについて教えてほしいのですが、たしか、鑑賞拠点をいくつか持っているんですよね?
グラント:そう。今持っているのは、ベックスレイク(Becks Lake)、グレースレイク(Grace Lake) 、マデリンレイク( Madeline Lake) と、もうひとつだね。最後のは、まだ未整備で今冬(2010-2011年)は行かないけど。
編集:各ポイントの使い方は決まっているんですか?
グラント:メインはベックスレイク。昔から犬ぞりオーロラとかで使っていた場所だけど、建物も増やしたからそんなに遠くのポイントを使わなくてもよくなったんだ。
編集:他の場所はどう使うんですか?
グラント:人数が多くなったら、グレースレイクでもオーロラを見てもらう。マデリンレイクは天候が悪くて他が使えなくなった時の押さえにしているのと、特別なツアーがあった時に使ってる。それと、他の建物に入りきれないほどお客さんが来ているとき。あとは、夏はこっちの建物がメインになるよ。
編集:なるほど。逆に「このポイントでオーロラを見たい」と言う、リクエストは出来るんですか?
グラント:人数の多いグループなら、事前に言ってもらっていれば出来ると思うよ。
編集:つまり、個人単位では難しいと。
グラント:そうだね。15人とか20人とかのグループが希望を出してくれる場合の方が、OK出来ることが多いと思う。
編集:なるほど。ちなみに、各鑑賞施設の周りって、何もないんですか?
グラント:そうだね。特に湖は結構広いから、歩こうと思えばかなり歩いて行けるよ。
まあ、そういう場所に行くと、みんなそんなに遠くには行かないんだけどね。
編集:そうですか。それだと、陸の孤島気分も十分に味わえそうですね。
犬ぞり関連のツアーについて
編集:では犬ぞりですが、もともとここの犬たちは、本物のレース犬なんですよね?
グラント:ああ。今でもレースに出てるよ。
編集:ツアーで使う犬と、レースに出る犬は別なんですか?
グラント:いや、おんなじ犬。ただ、(ツアーの時は)レースに出る犬に若い犬をリードさせるようにしてるから、(レースの時より)スピードは落ちるけどね。
編集:じゃあ、レースに出る犬たちだけで、ツアーに出ることはないんですか?
グラント:いや、レースに出る前は、調整の為に組む時はあるよ。
編集:そうですか。では、犬ぞりのツアーを紹介してください。
グラント:ウチがツアーでやっているのは、犬ぞりと、犬ぞり操縦と、スノーモービル(極北アウトドア体験)、犬ぞりで行くオーロラ鑑賞。
犬ぞりは、5~7人乗りの橇(トボーガン)に乗ってもらって、グレイクレイクを一周してくるツアー。誰でも参加できるツアーだね。犬ぞり操縦は、レース用の小さい橇(2~3人乗り)で湖を一周して、その間に交代で操縦をしてもらうツアー。極北アウトドア体験は、スノーモービルのツアーだね。
それから犬ぞりオーロラは、ベックスレイクのオーロラ鑑賞に、犬ぞりで行ってもらうツアー。そりに乗っている間に上を向くと、オーロラが見えることもあるよ。
編集:犬ぞりの操縦って、難しくないですか?
グラント:犬がコースを覚えているから、操縦自体は難しくないと思う。犬ぞり師が近くを走るから、犬が絡まったりしても、すぐに直すしね。強いて言えば、ブレーキをしっかりしてもらう事かな?
犬ぞり師がスノーモービルに乗りながら、「停まれー!」ってゼスチャーする時にだけブレーキしてくれればいいんだけど、ブレーキバーに全体重を乗っけて停めてほしいんだ。じゃないと、
編集:そうじゃないと?
グラント:犬の力が強くて停まれないんだよ。特に女性だと、体重が軽いから持って行かれる。だから、そりが停められても、犬ぞり師が「(ブレーキを)離していいよ」って言うまでは、体重をかけたままにして欲しいんだ。
編集:分かりました。では、極北アウトドア体験は?
グラント:極北アウトドア体験は、そりに乗って(スノーモービルの後部座席の時もある)ベックスレイクまで行くんだ。そこで、スノーモービルが運転をして、復路はまたそりで帰ってくる。
編集:極北アウトドア体験の時にも、ベックスレイクのキャビンは使えますか?
グラント:使えるよ。湖畔にあるテントの方が使いやすいと思うけどね。
編集:そうですか。ところで、夏のツアーどうしているんですか?
グラント:夏は犬ぞりは出来ないね。だから、訓練体験っていうのをやってる。
編集:訓練体験?
グラント:夏は犬がバテるから、重労働はさせられないんだ。だから、気温の低いうちに、朝とか夕方に軽くトレーニングしてる。
編集:どうやってトレーニングをするんですか?
グラント:(ゴルフに使うような)カートに犬は付けるんだけど、カートもちゃんと運転してる。重いものを引く訓練じゃなくて、隊列を整えるためだね。夏の間も訓練しておかないと、レースを忘れられるからね。
編集:(犬は)言う事を聞くものですか?
グラント:それが、聞かないことも多いんだよね。若い犬たちをレースに慣れさせる訓練だから。
編集:なるほど。別の意味で面白そうですね。
その他のツアーについて
編集:では、特殊なツアーについて教えてください。
グラント:3つあって、アイスフィッシング ツアー、宿泊付きパッケージ、キャンプツアーがあるよ。
編集:アイスフィッシングは、どんなツアーですか?
グラント:グレートスレイブ湖に漁網が仕掛けてあるんだ。そこで網を引き揚げて、かかった魚を収穫。ここ(ベックスケンネル)に戻ってきて料理するツアーだよ。
編集:網の引き上げは、手伝えるんですか?
グラント:残念ながら出来ないんだ、(釣りの)鑑札の問題でね。でも、獲れた魚は食べ放題だよ。この建物にはフルキッチンが付いているからね。
編集:どんな魚がかかるんですか?
グラント:ホワイトフィッシュ(White fish・サケ科)、バーボット(Burbot・カワメンタイ亜科)、トラウト(Trout・カワマス)、ノーザンパイク(Northern Pike・キタカワマス)、ピカール(Pickerel・アメリカヌス)とか。一番獲れるのはホワイトフィッシュだね。
編集:そうですか。いろいろ獲れるものですね。では、宿泊付きプランについて教えてください。
グラント:これはね、ツアーから戻ってきて、ここ(ベックスケンネル)に泊まってもらうタイプと、鑑賞地に泊まってくるパターンがあるんだ。
編集:ここに戻ってくるのは何時ですか?
グラント:3時。だから、そのあとにオーロラが見たければ、ここの庭からでも歩いて行って湖から(100m位)でも、まだ見ていられるよ(ベックスケンネルは、街の郊外にある)。
編集:では鑑賞地宿泊プランは?
グラント:ベックスレイクとグレースレイクのキャビンは、宿泊用のベッドを用意してるんだ。オーロラ鑑賞のツアーが帰ってもそこに残れて、眠たかったら眠れるし、(オーロラを)見たかったら朝まで見ていられるよ。
編集:こっちのプランはいつ迎えに来てもらえるんですか?
グラント:朝の8時に迎えに行くよ。
編集:なるほど。では、キャンプツアーはどんなものですか?
グラント:これは、日数を決めて犬ぞりで移動して、キャンプしながら遠くまで行ってくるツアーだよ。
編集:キャンプと言っても、真冬のツアーですよね?
グラント:もちろん。そうじゃないと、犬ぞりが使えないからね。
編集:希望者は毎年いるんですか?
グラント:これは10年ぐらい前からやっているけど、毎年何組かはいるよ。日本からのお客さんもたまにね。
編集:そうなんですか?ちなみに、誰がガイドとして行くんですか?
グラント:キャンプツアーは必ず私がするよ。
編集:それだと、いろいろ話が聞けて楽しそうですね。ちなみに、グレートスレイブ湖まで出るんですか?
グラント:出るよ。ツアーの日数が多いほど、遠くに行くし。
編集:そうですか。ところで、どんなところでキャンプするんですか?
グラント:まあいろいろだね。その人によってカスタム出来るから。何をしたいかメールしてもらえればオリジナルのツアーを組むことが出来る。
編集:2010年11月、最新改定:2017年11月
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編集後記
犬ぞりレース犬のブリーダーとして有名だったベックスケンネル。
生粋の現地人であるグラントと、やはり極北をよく知ったガイドたちが、その地元の強みを生かした独特のスタイルのツアーを展開しています。オーロラの事だけでなく、自然環境や犬ぞりや街の歴史などにも興味があるなら、たくさんの話を聞けることでしょう。2016年現在は多くのツアーで日本語対応になっています。
- ベックスケンネル オーロラツアーズ(オーロラ ワンダーランド) Beck's Kennels Aurora Tours
ツアー内容:オーロラ鑑賞、犬ぞり、犬ぞりオーロラ(冬季)、スノーモービル、アイスフィッシングデモ、犬ぞり&キャンプ、犬ぞり操縦、防寒服レンタルなど
支払方法:Cash, Debit, Visa, MC, AMEX, P-Check
ベックスケンネル オーロラツアーズ(オーロラ ワンダーランド) Beck's Kennels Aurora Tours
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