YK-LowHotel
イエローナイフにはなぜ安いホテルが無いのか
他の都市と比べると、イエローナイフの宿泊施設はみな割高。ホステルのような施設もありません。
「田舎なのになぜ?」という声も聞かれるのですが、寒い地域の田舎では、みな同じようになります。むしろ、他の極北地域に比べて、イエローナイフの宿泊施設は安めです。
南の都市より宿泊費が上がる主な理由を挙げてみます。
- 全ての建物が極寒地仕様
同じ建物でも、バンクーバーの建物とイエローナイフの建物とでは、耐寒構造がまるで違います。
したがって、極北地域は建物の建設コストが半端ではありません。
- 馬鹿にならない輸送費
全ての建設資材は、エドモントンやカルガリーなどから輸送してくることになります。陸上輸送で距離1500キロ。この分が、建設費にそっくり加算。
- 暖房費
とにかくバカにならないのがこれ。寒い地域ほど、建物全体を暖めて熱を逃がさない集中暖房方式にしますが、それでもかなりの燃料を消費します。家が一度冷え切ったら、更に余計に燃料を使います。
家に居ないときや小まめに温度を下げて使用しても、月の燃料代は、一軒家で6万円ぐらいします。大きな家だと、ひと冬の燃料代が40万円越えなんてザラ。
以上の理由により、南のカナダに比べると、宿泊費は上昇します。
車を運転して、宿泊施設に泊まりながら移動してくると、価格の上昇具合を実感できるでしょう。
この街では、「耐寒設備」が建設上の最重要ポイント。
したがって、それ以外のデザインは全て後回し。外観がシンプルなデザインの建物が多いのは、こういう理由によります。
それでも、イエローナイフには宿泊施設が多くてある程度の競争があるので、高騰はしていないです。更に北方の小さな町は、ここ以上に建設コストがかかりますから、建設費は更に高騰。宿泊料金も高くなります。
ちなみにイエローナイフの物件の相場ですが、2010夏現在、
- 3LDKのトレーラーハウス:1800万円~2500万円
- 3LDKのモジュール住宅や一軒家:2800万円~4000万円
- 5LDKの一軒家:4500万円~7500万円
以上の値段は、中古物件を含めてです。
(金額は物件の「日本円での値段感覚」なので、実際のレート換算とは若干違います)
ですから、貸し部屋も同じように高くなります。2010年夏現在、
- バチェラータイプ(ワンルーム):$1100/月
- 1Bed Room(1LDK):$1200/月
- 2Bed Room(2LDK):$1450/月
- 3Bed Room(3LDK):$1800/月
ぐらいが「価格の目安」だそうです。
これに、電気代などがかかります。
この値段の高さはここ10年、イエローナイフの空室率が1%を切っていたことも関連していました。
リーマンショック後、経済に停滞が見られ、市も住宅問題解消のために大規模造成に取り組んでいるため、「数年後でも価格はそれほど上がらないんじゃないか」と言われています。
でも、以前に比べて建設費と燃料代(輸送コスト)が上がってしまったので、どうなるかな・・・?
北の僻地に住むのも意外に大変だったりします。